美人・役者・風景・戯画など多彩なジャンルによる満開の浮世絵をお届け!
浮世絵は、「当世風」の絵という意味を持っています。庶民文化が花開いた江戸後期において、広い階層の人々に享受され、その時代を写し出しました。今回は幅広いジャンルから60点ほどの作品を公開し、幕末から明治にかけての時代の変化を概観したいと思います。また、新歌舞伎座誕生を記念して、役者絵や歌舞伎の舞台裏を描いた作品なども展示致します。
風刺画・戯画
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「鳥羽画巻物之内屁合戦」
作者不明 慶応4年
江戸末期、世相を風刺した浮世絵が多く描かれます。
これは、戊辰戦争を風刺した作品。
「兵力」を「屁威力」にもじり、「屁」ならサツマイモの薩摩が
圧倒的とばかりに 旧幕府軍を最新の「屁威機?」で
吹き飛ばしています。 - 「暁斎楽画 第五不動明王開化」
河鍋暁斎 明治7年
こちらは、文明開化後。不動明王も時代の流れに
後れを取ってはいけません!
新聞を読みふけっています。
光背の炎では鍋が炊かれ、日本酒のお燗まで・・・。
河鍋暁斎の作品。
名所絵
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「名所江戸百景 堀切の花菖蒲」
歌川広重 安政4年
歌川広重の名品の一つ。「名所江戸百景 堀切の花菖蒲」。
優雅にその身を伸ばし、開いた花びらは空気を
いっぱいに吸い込んでいるかのよう。
世界中で愛される一枚です。
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「東京駿河町三ツ井正写之図」
歌川芳虎 明治7年
明治7年。現在の日本橋三越本店と三井本館周辺を描いた作品。
富士山をバックにした江戸の象徴日本橋付近も、
建物や行き交う人々が大きく様変わりしています。
役者絵
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「市川団十郎演藝百番 三 勧進帳」
豊原国周 明治26年
江戸の華。「歌舞伎十八番 勧進帳」。
九代目市川団十郎演じる弁慶。
関所を守る富樫の質問に答え、見得を切る場面。
「成田屋っ!!」。 -
「役者化粧姿絵 河原崎権十郎」
歌川国貞 文久元年
眉を引いて、
お化粧中・・お化粧中・・
美人画
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「隅田川岡の賑ひ」
二代歌川国貞 安政3年
春に観るならこれでしょ?桜がきれい。
花魁はもっときれい。
木版口絵
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「文藝倶楽部二十巻四号 爪紅」
鏑木清方 大正3年
こちらは木版口絵と呼ばれるもの。
浮世絵とは言いませんが、その時代の女性を表現した 「当世風」の美人画。
日本画の巨匠鏑木清方の木版画です。