今年5月種差海岸及び階上岳が三陸復興国立公園に指定されました。本展覧会は、地元に国立公園が指定されたことを記念し、「そもそも国立公園とはどのような時代背景のもと、どのような過程を経て成立したのだろうか」という国立公園成立史を中心に取り上げます。
八戸ゆかりの鳥瞰図絵師吉田初三郎は、まさにこの国立公園が議論され成立へ向かう大正~昭和初期にその成立背景にも関わる観光業の発展に旅行案内図の制作で貢献しました。本展覧会は、初三郎の作品を中心に浮世絵・鉄道旅行案内・日本新八景の資料など明治から昭和10年代の資料を展示し、近代化する時代を概観したいと思います。
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東京築地ホテル館表掛之図 明治3年 -
東京名所 明治22年
第一章 国立公園成立史
まず第一章は、近代化の幕開けにより観光に関わる各種インフラが整備されていく明治期、そして経済発展のなか自然保護を中心とした国立公園化の議論が展開される大正期から制度化する昭和初期までを浮世絵・資料・鳥瞰図でご紹介します。
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鉄道院線沿道遊覧地案内
明治42年 -
鉄道旅行案内 大正10年 -
鉄道旅行案内 昭和11年 -
天然記念物 大正4 -
十和田湖
第二章 吉田初三郎 九州一大国立公園案
第二章は、初三郎が新聞紙上に連載した九州全土を国立公園にしようという大胆な構想を見つつ、鳥瞰図を用いて天孫降臨伝説や元寇、隠れキリシタンなどに関連する史蹟名勝等九州の魅力の一部をご紹介します。
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鹿児島市「鹿児島市鳥瞰図」 昭和10年 -
桜島 鹿児島湾(鳥瞰図部分) -
浦上天主堂(鳥瞰図部分) -
祐徳稲荷神社(鳥瞰図部分)
第三章 各区域の指定までの流れ
最後の章では、富士箱根や日光などの国立公園指定までの流れを鳥瞰図と共に概観。戦前に台湾に指定された3つの国立公園についてもご紹介します。
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官幣大社富士山名所図絵 大正11年 -
聖地熊野三山めぐり 国立公園熊野鳥瞰図 昭和12年頃